怒鳴られると
何をしても、何をしゃべっても、どう反応しても、すべてだめだ。
下を向いて、ひたすら収まるのを待つ。
ただひたすら、こわい。
ぴりぴりとした薄い頭痛のような感覚が頭から、首、肩、肩甲骨、ひじにかけての皮膚ではじまり、急激に強張る。
本当は、離婚の時のために、詳細な会話の記録などがあったほうが良いのに、ついさっき10分前に怒鳴られたその言葉を思い出せない。
あるのは、強烈な肩こりと恐怖だけ。
閉められた扉の向こう側に気配を感じるだけで、心の底から恐ろしく感じる。
こわい。
夜になると、町は暗くなる。
ひとりで入れるようなお店もない。
何か飲みたいわけでも、食べたいわけでもない。
この家をとびだしたところで行く場所なんかない。
ただ時間がたって、
平日の朝がきて、
彼が家を出ていくことが生きていく希望。
平和がほしい。
安寧がほしい。
友だちに言われた言葉が胸に突き刺さる。
結婚生活はいろんなことがある。
でも○○がいま不幸せなのなら、それは悲しい。
私はいま、しあわせでは、ない。
早起きした朝の冷たくて澄んだ空気が心地よく感じる今は、
まだ生きている意味があるのかなと、なんとなく決めていたが、
身体も心も、その状態を脳みそで自覚したときは、もう手遅れの状態なのかもしれなかった。